Moto Guzzi V7 E5(2021)のレビュー。
※E5はユーロ5のことである。
15,000キロ乗ったので。
私ほど、V7を使い倒している一般人はそう居ないと思うので(笑)。
前提として、どんなものにも長所と短所があるということ。
手間のかかる子ほど愛おしく、磨き方次第では輝くという点である。
行き過ぎると、短所はだんだんチャームポイントに見えてくる。
含蓄のある、ありがたい金言をご紹介する。
「愛は憎しみとなり、ついに宿命となった!」
これは、ガンダムの強力なライバルとして現れ、何度もガンダムに敗れ、武士道を修め、それでも敗れ、最後は自身もガンダムマイスターとなったツワモノの言葉である。
なるほど、イタリア車の付き合い方と通じるものがある。
ある意味では、イタリア車乗りも宿命を背負ったガンダムマイスターなのかもしれない。
我々はバイカーではなくて、マイスター…。
マイスターと聞くと、小麦のドイツビールが飲みたくなる。
もう良い、本題に入れ。
結論から先に申し上げると。
満点である💯!
空冷縦置きVツインを新車で買える、ラストチャンスになるかもしれない。
欲しい人は今!買った方が良いし、手放さずに大切に乗るべき。
ただし、傷ひとつも許さない!マイナートラブルNG!っていうような人は精神衛生上良くないのでオススメしない。
憎しみだけが残ってしまうかもしれない。
ストレスで健康問題が生じることになる(笑)。
それでは、詳しく述べていく。
モトグッチは一般道を法定速度+10kmくらいの範囲内で、心地よく流すという点において性能面での不足はない。
一般道は超楽しい!
ずっと乗っていたくなる。
私は埼玉の北の方から浜名湖まで一般道でノンストップで行ったことがある。
実に8時間くらい。
飲まず食わず。
古めかしい設計のVツインに跨っていると、やばい脳汁(アドレナリン?)がドバドバ出てくる。
もっと走ろう!もっとだ!どこまでもだ!となる。
ただし、エンジンの性能面で指摘したい問題点もある。
環境規制のユーロ5の影響で、新型は元気いっぱい!という訳ではない。
人間にたとえるなら、なんか調子が悪いなぁ〜、風邪ひいたかなぁ〜?という感じである。
このダルさには、明確に原因が存在する。
①ブローバイ処理システム
②2次吸気システム
この2つが新型モトグッチV7の本来の性能の足を大きく重く引っ張っている。
特に、①ブローバイ処理の方法がかなり無理をしている。
エンジンが息つぎをしてしまう。
低回転から中回転域でエンジンが一瞬しゃっくりをするかの様に止まるときがあるので、Uターンなどはなるべく避けた方が良い。
旋回中にこれが起こると本当にこわい。
低速域で不安定な姿勢になるようなことは避けた方が良い。
なるべくバイクをバンクさせないようにした方が良い。
超低速走行はしっかり半クラをつくる。
個体差の問題ではなくて、環境対応を迫られた設計上の限界である。
なんで知ってるの?って思う人もいるかもしれない。
本場の欧米諸国のウェブサイトが充実している。
英語に抵抗がないので、海外サイトを熟読している。
その記述と照らし合わせてパーツリストも熟読したからである(笑)。
照らし合わせるには英字表記のものが良い。
このように、ユーロ5規制の影響を思いっきり受けてしまったV7は、なんとか、首の皮一枚でつながっているようにも見える。
次の排ガス規制に対応できずに、なくなってしまうかもしれないと噂もされている。
そのような意見も今まで述べてきたことを踏まえると、ある程度の説得力がある。
ここまで生き残っていること自体が奇跡ではないかと思う。
モトグッチの技術者の情熱と苦心には尊敬する。
ちなみに、この2つに手を加えると、違法整備になってしまう可能性が高い。
環境規制に適合しなくなる。
スイッチ類のトラブルは多い。
スタータースイッチ故障の時は、始動できなかったり、エンジンが急に止まったり、再始動できなくなったりした。
ライトスイッチも故障した。
そして、部品はなかなか入ってこない。
電装系部品について、外国車は諦めが肝心である。
宿命なのだ。
私はモトグッチ v7が本当に大好きだけど、大嫌いな細かな点がいくつかある。
(好みに合わないというだけ。)
・エキパイが二重構造&カバーが出っ張りすぎている。
・ステップが幅広で前すぎること。
・リアサスが短すぎること。
・インジェクターカバーがプラスチックであること。
特に許せないのがエキパイである。
これのおかげで、スポーツ走行はほぼ不可能と言っても良い。
邪魔なカバーをとって、バックステップに変えて、バンク角を稼いだとしても、すぐにエキパイが擦ってしまう。
擦らないフルエキもしくはエキパイが発売されたら絶対に買う。
そのパーツだけで、スポーツできるオートバイに生まれ変わる!と言っても、全く過言ではない。
バックステップと少し長いリアサスに交換すると、ネイキッドとクルーザーの中間的な位置づけから、グッとネイキッド寄りになる。
それでもポジションが窮屈で低いので、日本ではオプション設定されていないハイシートにした。
それで、だいぶ乗りやすくなった。
ちなみに、私は自分のモトグッチよりも教習車のNC750の方がずっと上手く自在に扱うことができる。
HMSで低速の訓練を継続的に受けているためであるが。
正直な話、NC750はエンジンに癖のあるバイクではあるが、V7のような謎の挙動はしない。
そもそも、空冷エンジンと水冷エンジンを比べてはいけないのかもしれない。
V7は加速力が低く、シート幅が広くニーグリップしにくい。
バイクとの一体感もイマイチである。
↑全く!と言っていいほど、窪んでいない。
NC750のギアはとてもスムースである。
ただ、繊細なアクセルコントロールはとても難しく、1速でのスラローム走行には慣れが必要だと思う。
前にも申し上げたが、生産が終了していなければ、間違いなく教習車にもなっているNC750かCB400を一台目として購入していたと思う。
モトグッチに慣れてきた今でも、それに変わりはない。
詳しい交換パーツの情報などは、反響と時間があれば、記事にまとめたい。
本音を言うと、ライテク訓練用にコスパの優れたSUZUKI車が欲しい。
モトグッチでも十分にライテクを学ぶことができるが、私はそろそろ性能的な限界に近づいているし、そう指摘されることが増えてきた。
良いタイムを出すことは諦めなければならない。
車重が重く、身体をかなり使わなければならないため体力の消耗がとても早い。
空冷は熱に弱くて、性能が安定しにくい。
たくさん欠点もあるが、全て些細なものである。
空冷モトグッチは渋くてかっこいいし、本当に楽しい。
だから、120点である。
それと、小麦のドイツビールだが。
ヴァイツェンと言う。
ビールが苦手な人も一度、試してみる価値はある。
日本人で良かった〜と思うレベルだ。
私は大好きだ!!!
試されてない方はぜひ!
ごく稀に酸っぱいハズレ缶がある。